日本語教師3.0

「授業の質は上げる」「仕事の量は減らす」「両方」やらなくっちゃあならないってのが「教師」のつらいところだな 覚悟はいいか?オレはできてる

使役受身の導入を口実にして学生をいじめてみた

  こんばんは。 日本語教師ブロガーのNicky(@JPT407)です。

 

 昨日、中級で使役受身を教えました。使役受身とは、「私は母に買い物に行かされました」など、「命令されて仕方なく~する」という文型です。ここでポイントは、「自分にとって嫌なことだということ」です。

 

 使役受身といえば、やってみたい導入がありました。「ゆるゆる日本語教師 なにわ日記」さんの、「学生に嫌いなものを無理やり食べさせる」という導入です。

nihonngokyoushi-naniwanikki.blog.jp

 

 ただ、まったく同じではおもしろくないので、私はこれを使いました。

 

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 午後の授業だったので、「昼ご飯を食べましたか」という話題から始め、「まだおなかがすいている人がいませんか」と手を挙げさせました。そこで手を挙げたのが、ちょうどたまたま前期から持ち上がりの親しい学生だったので、「いいものをあげます」と納豆を取り出したら、クラス内がワーッと盛り上がりました。

 「納豆が好きですか」とたずねたら、案の定「好きじゃないです」と答えたので、「食べろ」と命令して食べさせました。あとは「なにわ日記」さんの導入の通りです。私「先生は?」、学生「○○さんに納豆を食べさせました」

私「○○さん、『私は?』」

○○さん「・・・」

私「先生に納豆を食べさせられました」

○○さん「私は先生に納豆を食べさせられました」

 

こんな流れです。

 

 ちなみに、初級でも学生に納豆を食べさせたことがあります。たぶん、「~たことがありませんから、一度~てみたいです」の文型だったと思います。わざと学生に「納豆を食べたことがありませんから、一度食べてみたいです」と言わせてから、机の下から「どうぞ」と納豆を取り出す、というパターンです(笑)。もちろん、納豆を持っているのは秘密です。

 これ確か、台中の犬山先生のアイデアを参考にさせていただいたと思います。

blog.roodo.com

 

 授業準備で困っている新人の日本語教師の方は、いろいろベテランの授業を参考にするといいですよ

 

 二つ目の例文は、私のオリジナル。

 

 まず、クラス全員が大学か、大学院に進学を希望しているので、「みなさん、大学へ行きたいですね。大学に行ったら、新歓コンパというものがあります。」と、「新歓コンパ」を語彙導入します。

 それから、「新歓コンパでは、先輩が後輩にお酒を飲ませます。後輩は嫌でも飲まなければなりません。」と、覚えておくと使えそうな知識で興味を引き付けます。

 それから、納豆といっしょに買っておいた缶ビールを取り出し、自分を先輩、学生の一人を後輩に見立てて、乾杯してビールを飲ませます。

 そして、二つ目の例文「私は先輩にお酒を飲まされました」を導入します。

 

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 もちろん、缶ビールはノンアルコールビールです(笑)。見た目そっくりだし、学生はまだ「ノンアルコール」の意味が分からないはずなので、みんなもうちょっとびっくりするのかと思いましたが、あんまりびっくりしませんでした。残念です。

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  今でもこんなことをやっているのか、念のため調べてみましたが、コールなどはむしろ私の時代より進化しているようです。もちろん、私は賛成する立場ではないので、学生には気をつけろと言っておきました。

twotwoall.com

www.jiji.com

 

 三つめは、なにわ日記さんと同じく、「子どものころに親に言われたこと」。予想通り、「勉強させられました」が出てきました。

 

 

 私はこういうおもしろい授業が好きです。もちろん、つまらない授業より、楽しい授業がいいという理由もあるのですが、もっと他にちゃんとした理由もあります。

 

 それは、「エピソード記憶」というものです。

 

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 エピソード記憶とは、個人が経験した出来事に関する記憶で、例えば、昨日の夕食をどこで誰と何を食べたか、というような記憶に相当する。エピソード記憶は、その出来事を経験そのものと、それを経験した時の様々な付随情報(時間・空間的文脈、そのときの自己の身体的・心理的状態など)の両方が記憶されていることを特徴とする。 

エピソード記憶 - 脳科学辞典

 

 長期記憶の陳述記憶は、エピソード記憶と意味記憶に分かれるんですが、意味記憶が何度も何度も繰り返さないと覚えられないのに対し、エピソード記憶は一回で覚えるという特徴があります。

 

 だから、無味乾燥な文型の暗記ではなくて、後で「ああこんな授業があったなあ」とエピソードをきっかけに思い出しやすいような授業をしたいなあと思っています。そのためには、おもしろかったとか、びっくりしたとか、珍しいものを見たとか、感情を揺さぶられる経験が必要なわけです。

 

 もちろんそれだけではだめで、学生の頭に定着させるには、地道にコツコツ反復練習することも大事だと思っています。前期はその辺が抜けていて、ただのおもしろい授業になっていたので、今期は両方きちんと押さえたいなと思っています。

 

 では、また!