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日本語教師3.0

「授業の質は上げる」「仕事の量は減らす」「両方」やらなくっちゃあならないってのが「教師」のつらいところだな 覚悟はいいか?オレはできてる

日本語教師の給料がこれからも絶対に上がらない理由

日本語学校

 理由はたくさんあると思いますが、今日は教師ではなく、学校側の問題に絞って書いてみようと思います。

 

 まず、全ての商売の基本として、売上=単価×数量という公式があります。日本語学校で言えば、単価は一人の学生あたりの学費、数量は学生の数です。

 つまり、日本語学校ではこうなります。

 

 売上=生徒一人の学費×学生の人数

 

 したがって、学費か人数のどちらか、あるいは両方増やせば、教師の給料も増やせるでしょう。しかし、このどちらも増やしようがないと思います。

 

 

 

学費が上がらない理由

 これは、学生が留学生だという特殊な理由です。「日本語学校は予備校だ」というツイートが先日回っていましたが、日本語学校を普通の予備校と比較するとわかりやすいでしょう。

 普通、留学するとき、どんな国に留学しますか。例外はあるとして、基本的には自国より経済水準が高い国に留学するでしょう。基本的に、経済水準と教育水準は比例するからです。経済水準が日本と同じ、もしくは日本より高い国はあります。しかし、たとえば自国にハーバードやケンブリッジがあるのに、わざわざ日本へ来ようと思いますか?

 例外として、日本文化が好きなアメリカ人やヨーロッパ人が来ることもありますが、来たとしても短期の遊学でしょう。『日本人の知らない日本語』のフランス人マダムみたいなのは、例外中の例外だと思います。

 

 

 結局、日本語学校は、日本より貧しい国から来た留学生を対象にしなければなりません。日本人相手の予備校と同じ価格設定にすることは不可能です。

 

 ただ、例外はあります。

 ドアに「VIPルーム」と書かれている。小さな机といすが二つ。狭い空間にホワイトボードも置かれている。マン・ツーマンで指導する文字通りVIPコースの学生向けの教室で、約千二百人の学生中、約五十人が同コースを選択している。約二十人に一人の割合だ。

「学費に上限はありません。学生の要望によって、いくらでも臨機応変にカリキュラムを組みます。二百万円くらい出すという親はざらにいますし、四百万円払うので、半年で早稲田に合格させてくれますか、というあからさまな要求をしてくる親や学生もいます。要望に応じて、一時間当たり一万円から一万五千円くらいの敏腕教師を張りつけて特訓する場合もありますね」

 

  しかし、これは普通の日本語学校ではありません。中国人が経営する予備校です。

 

 

 しかし、こういうビジネスモデルも不可能なようです。

 

 

学生の人数が増えない理由

  これも、日本人相手の普通の予備校と比較すると、わかりやすいと思います。予備校の先生は、昔より待遇が悪くなったと言われるものの、日本語教師に比べれば、はるかに待遇がいいです。特に、人気講師の年収は3000万円を超えるそうです。

f:id:JPT407:20170326102241p:plain

heikinnenshu.jp

 

 どうしてかと考えると、先に述べた、学生の経済水準の違いのほかに、教師一人当たりの学生の人数が全然違うということに思い当りました。私が予備校に通っていたのは20年以上前ですが、そのころから中継で、東京の講師の授業を全国で受講することが可能でした。これを利用すれば、理論的には教師一人当たりの学生を無制限に増やせます。

 

 たとえ学生一人の学費が低くても、先生一人が何十人、何百人という学生を担当するなら、給料も増えそうです。薄利多売というやつですね。

 

 ただ、日本語学校で学生の人数を増やすことは不可能でしょう。最大の理由は、日本語学校と予備校の授業のスタイルの違いにあります。

 予備校では、講義スタイルです。先生が一方的に話し、学生は聞くだけです。テレビと同じで、視聴者がいくら増えても、影響はありません。しかし、日本語学校では、必ず学生とコミュニケーションをとりながら授業を進めます。20人を60人に増やしただけでも、指名や練習は極端に困難になります。ましてや、講義を中継して、「画面の向こうの○○さん、答えてください」ということはできません。物をやり取りしながらのコミュニケーションなどはそもそも不可能です。

 

 この問題については、以前に別の先生が詳しく考察されているので、そちらをご覧ください。

nihonngokyoushi-naniwanikki.blog.jp

 

日本語教師は自分の仕事に誇りを持ってほしい

 いろいろ考察した結果、どうやら将来も日本語教師の待遇は改善されそうにない、ということが分かりました。しかし、それは教師自身の問題ではなく、そもそも学校に構造的な問題があるからです。もちろん、教師自身に問題がないわけではありませんが。

 

 日本語教師って、確かに社会的には低く見られがちで、「日本人なら誰でも日本語が教えられる」という偏見があるのも確かです。ただ、実際には高度な知識と技術が必要とされる専門職であり、決して簡単な仕事ではありません。待遇の悪さは、大部分は外部の構造的な問題に起因するもので、決して「日本語教師しかできないから」という理由からではない、ということを知っていただきたいと思います。

 特に、日本語教師自身が、インターネット上で自嘲的な意見を述べているのを見ると、がっかりします。もっと自分の仕事に誇りを持ってほしいと思います。

 

 では、また。