ブログは日本語教師の歩く鏡である

「授業の質は上げる」「仕事の量は減らす」「両方」やらなくっちゃあならないってのが「教師」のつらいところだな 覚悟はいいか?オレはできてる

中国人の、中国人による、中国人のためのビジネス(ただし日本で)

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 こんばんは。日本語教師ブロガーのNicky(@jpt407)です。

 

 こないだ、Twitter上で、知らない人からダイレクトメールが来ました。留学生を対象とするサービスを作ったので、日本語教師の意見が欲しい、というものでした。最近、日本語教育界で商売しようとする若者が増えている、とある人が言っていましたが、確かにそのようです。

 もちろん、断りましたが、興味深かったのは、「中国人留学生数名と作った」という部分でした。サービス内容を見ても、主に中国人留学生を対象としているものだと思います。

 

 最近、日本で「中国人の、中国人による、中国人のためのビジネス」というのが増えてきている気がするので、個人的な体験を書いてみたいと思います。

 

観光業

 「中国人の、中国人による、中国人のためのビジネス」が最も顕著なのは、観光業です。

 実は私は、日本語学校で働き始める前に、通訳案内士(通訳ガイド)も目指していました。通訳ガイドというのは、外国人観光客を相手に、通訳しながらガイドする、という仕事です。

 

 通訳ガイドには、国家資格があって、資格がないものは従事してはいけないことになっています。また、その資格も非常に高いハードルです。日本語教師の資格なら420時間でとれますが、通訳になるための語学だけでも1,000時間、万時間単位の学習が必要になり、さらには日本文化や地理、歴史などの幅広い知識が要求されるからです。通訳ガイドの資格を取れる人はほんの僅かです。

 さらに、今は空前のインバウンドブームです。観光地ではどこを見渡しても外国人、特に中国人があふれています。

 

 需要に対し、供給が不足していると聞けば、通訳ガイドには莫大な収入が約束されていると思うかもしれません。私もそう思っていました。

しかし、現実は全く逆で、通訳ガイドでは食べていけないのが現状です。

 

 なぜか?実は、通訳ガイドは表向きは資格が必要とされるものの、実際には莫大な中国人の無資格ガイド、いわゆる「闇ガイド」が跋扈しているからです。

diamond.jp

  “闇ガイド”は、日本の旅行業界では悪名高き存在だ。正規のガイドなら車中の時間を利用して日本の伝統や習慣を伝えようとするが、闇ガイドが車中で行うのは専ら販売行為。持参した段ボールの中から次から次と商品を取り出しては、観光客に売りつけるという。乗客の安心安全は二の次、ひどい場合は、観光地で乗客を積み残して出発するケースもある。

 2016年時点で、日本には通訳案内士として登録する有資格者は2万人超いると言われている。そのうち9割超を占めるのが英語の通訳案内士であり、中国語の通訳案内士の数は2016年で2380人に過ぎない。

 一方、2016年には中国から日本に637万人の訪日客が訪れた。そのうち個人旅行者が65%を占めるが、団体旅行者も依然35%を占める。同年には222万人が団体旅行で訪れた計算だ。

 仮に、一団体を40人で計算しても5万組が団体旅行で訪日したことになる。2380人の有資格者だけではどう考えても足りない。つまり、不足する通訳案内士を“闇ガイドの暗躍”で埋めているという構図だ。

 

 そして、この闇ガイドが何をしているかというと、中国人観光客専門のボッタくりの免税店へ客を連れて行って、高いお土産を買わせ、膨大なキックバックを受け取っているわけです。

 もちろん、この免税店も中国人が経営していますから、儲かるのは中国と在日中国人だけです。

 2015年は「爆買い」現象のピークが見られた年だが、このとき3.4兆円の旅行消費が日本にもたらされた。しかし、「小売業界で潤ったのはごく一部だ」と言われている。それが百貨店であり、家電量販店であり、免税店だった。

 免税店の中には当然“ぼったくり免税店”も含まれている。こうした悪徳免税店とタッグを組んだ闇ガイドの中には、コミッションだけで月1500万円も手にした者もいる

 

 そして、闇ガイドが大儲けする一方で、日本人の正規ガイドは食べていけないそうです。

  さて、日本の通訳案内士という業界で保田さんのようなベテランの男性ガイドは少数派だ。そもそも仕事の受注が不定期というその性格から、これを本業にすること自体難しい。通訳案内士に憧れたが、「夢破れ転職」という話もよく耳にする。

  このような現実を知り、私は通訳ガイドになることをあきらめました。

 

 ここまではこないだ書いた内容なのですが、今日タイムリーな記事が出ました。

www.newsweekjapan.jp

 これまでメディアは中国客の周辺で起きていた問題を散発的に報じてきた。ここでいう問題とは、受け入れる側と訪れる側の双方が直面しているものだ。

 前者は、今年5月に沖縄紙が伝えた在日中国人による「白タク」増加や、近年大都市圏を中心に目につく「違法民泊」、中国のツアー客やクルーズ船の上陸客を対象にした「闇ガイド」の暗躍などだ。

 後者は、多くの中国客が法外な値段で健康食品を売りつけられたという苦情から、中国メディアが警鐘を鳴らした日本の「ブラック免税店」問題だ。これは日本の評判を貶めており、中国客が伸び悩む理由のひとつとなっている。

 これらの実態を一般の日本人は知るよしがない。なぜなら、中国客の受け入れは中国側に仕切られているからだ。日本を訪れる中国人観光客の"おもてなし"をし、それで儲けているのは、実は日本人や日本の会社ではなく、中国と在日中国人によるネットワークなのである。

 

 まさに、「中国人の、中国人による、中国人のためのビジネス」です。日本観光なのに、日本人が儲からず、中国人ばかり儲かっていていていいのか、という気がしますが、実は教育業でも同じようなことが起きています。

 

教育業

 去年、このような記事が出て、日本語教育業界に衝撃が走りました(言い過ぎ?)。

toyokeizai.net

 日本の大学などに進学を目指す留学生は、もちろんまず日本語学校で日本語を勉強するわけですが、実はそれ以外に、「予備校」が存在するというのです。

 東京・大久保――。コリアンタウンとして有名なこの小さな町に、近年、中国人向けの大学受験予備校が乱立しているのをご存じだろうか? 夕方になると、飲食店に向かう日本人たちと逆行するように歩く中国人の若者たちがいる。中国人専門の予備校に通うためだ。

 「中国人留学生が1200人ほど在籍しています。彼らは昼間、日本語学校に通っていて、うちに通うのは平日の夜と週末だけですね。理系と文系に分かれていて、大学か大学院かなど、コースはいろいろなのですが、学費は年間で70万円くらいかかります。大学入学前の留学生は日本語学校などに通わないとビザが下りませんので、昼と夜のダブルスクールということになり、学費だけでも年間140万円くらいになりますが、みんな志望校を目指してがんばっていますよ」

  うちの日本語学校にも中国人留学生がいて、このような予備校に通っている学生もいます。 

 教師はアルバイトを含めて約150人。その他に事務スタッフなどもかなりいるが、特徴的なのは、運営も顧客もすべて“中国人”だけで成立しているということ。授業も日本語(科目)を教えるときも含めて、ほとんど中国語で行っていて、教科書も中国で日本の大学受験のために出版された教科書を使用している。雑然とした事務室の雰囲気はさながら、中国にある塾をそのまま再現しているかのようだ。

  学生のこういう予備校に対する信頼は厚いようです。教師はすべて中国人ですが、有名大学の修士や博士などがたくさんいるそうです。はっきり言って、学歴は日本語学校の教師より上です。そして、全て中国語で授業しているのがわかりやすさのポイントらしいです。

 中には、日本語学校の授業より、予備校の授業を大事に考えている学生すらいます。上で予備校のスタッフが、「留学生はビザをとるために日本語学校へ行かなければなりません」と言っていますが、逆にビザを取る必要がなければ、学校をやめて、予備校だけに行きたいという学生も一定数いると思います。

 ここらへんは、日本人の公教育にも共通した問題ですね。

 

「学費に上限はありません。その学生の要望や志望校によって、臨機応変に対応して特別カリキュラムを組みます。200万円くらいおカネを出すという親はザラにいますし、400万円払うので、半年間の特訓で早稲田に合格させてもらえますか? というあからさまな要求をしてくる親や学生もいます。1時間当たり1万円から1万5000円くらいの敏腕家庭教師をはりつけて勉強させる場合もありますね」

  日本語教育は、顧客が発展途上国の貧しい学生なので、高い授業料がとれず、日本語教師の待遇の悪さにつながっているという説がありますが、持っている人は持っています。持っている人からは取ればいいだけの話です。

 しかし、そのいちばんおいしいところを、中国人に持って行かれているわけです。 これもまた、「中国人の、中国人による、中国人のためのビジネス」と言えます。

 

 さらに知りたい人は、この本も読んでください。上の記事の著者です。 

中国人エリートは日本をめざす - なぜ東大は中国人だらけなのか? (中公新書ラクレ 565)

中国人エリートは日本をめざす - なぜ東大は中国人だらけなのか? (中公新書ラクレ 565)

 

 

 日本語教師の待遇については、以前こんな記事も書きました。 

jpt407.hateblo.jp

  しかし、このとき、「日本語学校の学費は日本人向けの予備校と比べても、特に安いわけではないので、高い授業料をとれないという説は間違っている」という指摘を受けたんですが。

 

まとめ

  このように、「中国人の、中国人による、中国人のためのビジネス」というのは、日本人があずかり知らないところで、こっそり広がっているわけですが、私はこれが今後、「中国人の、中国人による、”日本人のための”ビジネス」になっていくんじゃないかと思っています。

 

 たとえば、これもその一例です。

jp.techcrunch.com

 

 最近、電子マネーが話題ですが、中国人の学生に話を聞くと、もう中国では財布を持ち歩かなくてもいいらしいんですね。それはなぜかというと、何でもスマホで決済できるからだそうです。

 日本ではまだスマホ決済は一般的ではありませんが、日本で普及した時、提供しているのが日本企業ではなく、実は中国企業だった、ということも十分にあり得ると思っています。すでに中国では一般化して、技術やノウハウを蓄積しているわけですから。

president.jp

 

 今はせいぜい中国人をターゲットにした比較的小さいビジネスを取られているだけですが、将来的には、日本人向けの大きいビジネスも、中国人に持って行かれるということも十分あると思います。

 

 私は中国人留学生も教えている日本語教師なので、産経新聞のように乗っ取りだの戦争だの、馬鹿なことを言うつもりはありませんが、やはり日本人として、この状況はまずいなと思います。

www.sankei.com

 

 現在の日本人の中国人に対する態度というと、上の産経新聞や、多くのヘイトスピーチ本に代表されるように、ことさら脅威を煽り立てるか、どこか上から見下ろすような態度で、「どうせいつか自滅する」と気軽に考えている人が多いように思うのですが、冷静に、真剣に対抗策を考えなければならない時代になったのではないでしょうか。

 まあ、中国人を教えている日本語教師がこんなことを言うのもアレなんですが。

 

 では、また!