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日本語教師3.0

「授業の質は上げる」「仕事の量は減らす」「両方」やらなくっちゃあならないってのが「教師」のつらいところだな 覚悟はいいか?オレはできてる

『みんなの日本語』は口頭会話にこだわりすぎじゃないですか?

みんなの日本語 教授法 教案

 今日、松屋で食事をしていた時、あることに気がつきました。

 

 『みんなの日本語』第45課を教えた方はたぶんわかると思うんですが、「場合は」の例文を作るのって、けっこう難しいです。もちろん、適当に作れと言われればいくらでも作れます。ただ、「学生が現実の生活の中で聞いてもおかしくないような、リアリティのある例文を作る」というのは難しいです。

 

 それはどうしてかというと、「場合は」って、使用場面がけっこう限られてくるからなんですね。第2版『教え方の手引き』では、「『場合は』はすべて『とき』、『たら』に置き換えられるが、逆に『とき』、『たら』は必ずしも『場合は』に置き換えられるわけではない」と書いてあります。

 「場合は」の意味の説明として、「起こりうると想定されるいろいろな状況の一つを取り上げて、その状況下での対処の仕方、行動の制限などを言う」と書いてあります。確か、文型辞典も同じような説明だったと思います。

 

みんなの日本語初級II 第2版 教え方の手引き
 

 

日本語文型辞典

日本語文型辞典

 

  ただ、日本人の私でもこの説明を読んで意味がわからないのに、ましてや初級の学生相手にこんな説明はできません。

 

 そこで、場面設定として、「何か特別な立場にある人が、何も知らない人に対して注意事項を説明する」というような導入を行います。

 しかし、学生が実際の生活の中で「場合は」を耳にしそうな場面って、たとえばアパートの大家から部屋の説明を聞くとか、医者で診察の後に「熱が出た場合は」とか説明を聞くとか、そんなことくらいしか思いつきません。

 

 そんなに例文のリアリティにこだわらなくてもいいじゃないかと思われそうですが、これって実は超重要なことです。

 まず、学生に身近なことだと感じさせることによって、興味を引くことができます。そして、自分に関係のあることなので、覚えなければならないというモチベーションが生まれます

 

 ただ、「場合は」は、前にも書いたように、学生に身近な場面を提示するのが難しいです。

 とはいえ、それは会話に限っての話。実は書き言葉なら、街のどこでもしょっちゅう「場合は」を見かけます。

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 今日採集した「場合は」の用例です。よく考えてみると、実は「場合は」って、話し言葉より、書き言葉でよく触れるような気がします。というのは、話し言葉で「場合は」を使うのは、新しく来た人とか、何か新しいものを使う人に説明するときが多いからです。つまり最初の一回だけ使って、そのあとはあまり使わない、ということです。

 それに対し、活字化された注意書きの「場合は」は、いたるところにあって、よく目にします。

 それを考えると、例えば薬の注意書きなんかを授業に持って行って、「ここに『場合は』が使われていますね。『場合は』はこういう時に使われるんですよ」みたいな導入もいいんじゃないかと思い始めました。

 

 ただ、ふと気がついたんですが、『みんなの日本語』って、書かれた文章について教えることはあまりない気がします。例外は「~と読みます」、「~と書いてあります」くらいじゃないでしょうか?他の例文は全て会話文のような気がします。

 

 ほかもう一つ、学生に身近なことだと感じさせるのが難しく、定着率が悪いと思う文型項目に、敬語と「使役て形+いただきます」があります。

 これも会話による導入以外に、実際の活字の使用例を見せて、「ほらこんな形で使うんですよ」と提示してやれば、少しはわかりやすくなるのかな、とひそかに考えています。

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 まあ、最後の「電車がまいります」は、「どうして人じゃないのに、『まいります』を使うんですか」と面倒な説明が必要になりそうなので、使わないほうがいいと思いますが、実際は学生にとって一番身近な「まいります」じゃないかと思います。

 

 もし、見当はずれのことを言っていたらすみません。

 では、また。