日本語教師3.0

「授業の質は上げる」「仕事の量は減らす」「両方」やらなくっちゃあならないってのが「教師」のつらいところだな 覚悟はいいか?オレはできてる

GWに読みたい!日本語教師のための10冊(教育関連以外)

 こんにちは。日本語教師ブロガーのNicky(@JPT407)です。

 

 みなさん、ゴールデンウイークを楽しんでいますか?教案作成に忙しくて、他のことをする時間がないという方もいらっしゃるかもしれませんが、長い休みには、普段できないことをやりたいものです。

 

 そこで、今日は長い休みに読みたい本をご紹介しようと思います。本来はゴールデンウィークの前にこの記事を書けばよかったんですが、ブログを書くのにも時間がかかるので・・・。

 

 本当は10冊のつもりでしたが、どんどんリストが膨らんでいくので、日本語教育関連、その他教育関連(小中高校の先生のための本)、教育関連以外の3種類に分けて、10冊ずつ紹介することにしました。今日はまず、教育関連以外を書きます。

 

 

社会問題系

『中国人エリートは日本をめざす なぜ東大は中国人だらけなのか?』

 これは一押しの本です。特に、中国人の生徒がいる先生は、絶対に読んでおいたほうがいいと思います。「中国人は貧しい」、「日本へ出稼ぎに来ている」という既成概念が覆されます(もちろん、まだそういう人もいますが)。

 自分の生徒が、何のために日本へ来たのか、日本と中国の社会はどんな方向へ進もうとしているのか、理解しておくのは非常に重要だと思います。本にはある日本語学校も登場します。 

中国人エリートは日本をめざす - なぜ東大は中国人だらけなのか? (中公新書ラクレ 565)

中国人エリートは日本をめざす - なぜ東大は中国人だらけなのか? (中公新書ラクレ 565)

 

 多くの中国人留学生が目指しているのは「東京大学」や「早稲田大学」という難関校であり、そこに合格するための進学予備校まで存在している。

 東京・大久保には約五千人もの”金持ち”中国人予備校生がいて、日本の大学合格を目指して日夜勉強に励んでいるのだ。

 「数百万円かけてでも東大に入りたい」と切に願う中国の若者がごろごろいることに、私は驚いた。

 苦学生のイメージは、今はベトナムやネパールの学生たちに移行している。

(P14)

「三十年前は十七万人が早稲田を受験していたんです。いいですか。十七万人ですよ。今はざっくりいって十万人。でも合格者は同じです」

「偏差値を下げれば、それだけ入学できる日本人は増えます。でもそれでは早稲田のレベルを維持していけない。そこで優秀な留学生にもっと来てもらい、偏差値を下げないで早稲田のレベルを維持することを考えているのです」

(P121)

 

 著者の中島恵さんは、インターネットでもいろいろ記事を書かれているので、まず無料の記事を読んでみるというのもいいと思います。以前、日本語教師のFacebookなどでも大きな話題になっていました。

toyokeizai.net

toyokeizai.net

toyokeizai.net

 

『ルポ ニッポン絶望工場』

 これは、個人的に上の本と対を成すと考えている本です。上の本では「苦学生のイメージは、今はベトナムやネパールの学生たちに移行している」と書かれているんですが、まさにそのベトナムやネパールの学生にフォーカスを当てた本です。

 最近、技能実習生や留学生を劣悪な条件で働かせることが問題になっていますが、その問題についての本です。腰帯に「新聞・TVが報じない『現代の奴隷労働』」とありますが、かなりひどいらしいですね。しかも、問題は、その問題に日本語学校が深く関わっている、ということです。本には、日本語学校についての内容も入っているようです。

ルポ ニッポン絶望工場 (講談社+α新書)

ルポ ニッポン絶望工場 (講談社+α新書)

 

 ただ、恥ずかしながら今日紹介する本の中で、これだけは買っていないので、内容はどうだと書けません。近いうちに買って読みます。幸い、著者の出井康博さんの記事や、この本の書評はオンラインにたくさんあるので、それを参考にできます。

diamond.jp

 実は、以前このブログでも書いた週刊新潮の『日本語学校栄えて国滅ぶ』という記事も、出井さんが書かれたものです。 

jpt407.hateblo.jp

jpt407.hateblo.jp

 本のタイトルは過激ですが、書いてあることは事実だし、日本語教師に深く関係する社会問題として、ぜひ知っておくべきだと思います。

 今のうちに何か手を打たないと、やばいと思うんですよね。

 

トーク系

『TEDトーク 世界最高のプレゼン術 【実践編】』

  授業とプレゼンは、かなり共通点が多いと思います。特に導入はそうです。「いかに聴衆の興味を引き付けるか」、「いかに論点をわかりやすく整理するか」、「聴衆にわかりやすい話し方は何か」など、プレゼンの本には、授業に役立てられるポイントがたくさんあります。

 プレゼンの本といってもたくさんあるのですが、とりあえず一冊挙げてみます。

TEDトーク  世界最高のプレゼン術 【実践編】

TEDトーク  世界最高のプレゼン術 【実践編】

  • 作者: ジェレミー・ドノバン,中西真雄美
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/04/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 手堅いオープニングの第3のタイプは、インパクトのある質問です。この手法で聴衆の心をつかむには、「なぜ(WHY)」や「どうすれば(HOW)」から始まる質問が効果的です。なかでも「なぜ」で始まる質問は、聴衆の注意をひくという意味では最強です

(P162)

 授業にも役立ちそうでしょう?

 

 『たった1日で声までよくなる話し方の教科書』

  授業では、「何を話すか」(教案の段階)だけでなく、「どんな声、話し方で話すか」というディテールも大事だと思います。

 いろいろある話し方の本の中で、一冊買ってみたのがこの本です。

たった1日で声まで良くなる話し方の教科書

たった1日で声まで良くなる話し方の教科書

 

  著者は元アナウンサーです。この本が特にいいと思ったのは、書いてあることが具体的で、実際に試せそうだったからです。

 では、どうすれば「いい声」が出せるのでしょうか。

 ポイントを整理すると、次の3つになります。

肺にたっぷりと空気を入れる(=たっぷりと吐き出す)

②(口をきちんと開けるなどで)きちんと共鳴させる

③(下や顔の筋肉を巧みに動かすことで)滑舌よく言葉を発する

(P37)

 そして、会話術についても触れられています。

 返事が分かっていても、自分からはあえていわず、知らないふりをして、相手にちゃんとしゃべってもらうのです。これはインタビューの鉄則ですが、一般的な会話でももちろん活用できるはずです。

(P144)

 これは授業でかなり役に立ったテクニックです。 

 

 著者は最近、聞き方の本も出していて、欲しいなと思っています。実は教師の中でも特に語学の教師は、自分で話すことと同じかそれ以上に聞く(学生に話してもらう)ことが重要だと思っているからです。 

たった1分で会話が弾み、印象まで良くなる聞く力の教科書

たった1分で会話が弾み、印象まで良くなる聞く力の教科書

 

 

『超一流の雑談力』

 これはベストセラーなので、読んだ方も多いと思います。

超一流の雑談力

超一流の雑談力

 

 会話を広げる、相手に気持ちよくなってもらう、そのために私がおすすめしたい質問フレーズがあります。

 それは、「何か特別なことをされているんですか?」というもの。

(中略)

 「いや、別に特別ということもないんですが……」と、まんざらでもない様子で話してくれるでしょう。

(P93)

 

 実は、何が苦手かといって、雑談ほど苦手なものはありません。特に知らない人と雑談するのは苦痛です。

 しかし、語学教師として、そんなことは言っていられません。導入の時に学生の話を引き出すとか、会話の練習をするとか、語学教師に雑談の力は欠かせません

 そこで、雑談系の本の中で一番売れていそうなこの本を買いました。

 

 ちょっとテクニックに走っていて、あざといと思う点も無きにしも非ずですが、私のような話が苦手な人間にとって、とても役に立ちます。

 

 

仕事効率化系

『仕事を成し遂げる技術 ストレスなく生産性を発揮する方法』

  特に常勤として働き始めてから、毎日毎日大量の仕事に追われています。それを処理するために、GTD(Getting Things Done)という手法を導入しました。とはいえ、完全に実行できているとは言えないのですが。

仕事を成し遂げる技術―ストレスなく生産性を発揮する方法

仕事を成し遂げる技術―ストレスなく生産性を発揮する方法

 

 知識労働をリラックスしながらコントロールする術をマスターするために、私が教えている核となるプロセスは、仕事の流れを管理するための五つの段階からなるメソッドです。(中略)それは、①私たちの注意をひくものを集める、②それらの意味、およびそれらについてすべきことを検討する。そして、③その結果をすべて整理する。そして、それを、④私たちの選択肢として再検討する。そして、⑤選択する

(P43) 

 

 「GTD」で検索すると、山のように記事が出てくるので、参考にしてください。これ以外の本もたくさん発行されています。

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kenemic.com

 

  同じ著者による最新作。 

全面改訂版 はじめてのGTD ストレスフリーの整理術

全面改訂版 はじめてのGTD ストレスフリーの整理術

 

 

『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきたすごいPDCA』

 PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の略です。このサイクルを回すことで、業務の改善を目指します。

kigyotv.jp

 去年から常勤として1年働いたんですが、思ったほどの成長が得られませんでした。その原因を考えた時、とにかく仕事をこなすことだけに精いっぱいで、振り返りができていなかった、という点に思い至りました。

 そこで、PDCAを導入することにして、何冊か本を買った中で、一番良かったのがこの本です。

孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきた すごいPDCA―――終わらない仕事がすっきり片づく超スピード仕事術

孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきた すごいPDCA―――終わらない仕事がすっきり片づく超スピード仕事術

 

  名前の通り、ソフトバンクの社長室長を務めていた著者が書いた本です。ただのPDCAではなく、「高速PDCA」という方法が提唱されています。この本が特にいいと思ったのは、「毎日の目標を設定する」点と、「同時にすべての手段を試す」という点です。

 高速PDCAを実践するステップは先にお伝えした通りです。

大きな目標を立てる(週、月単位など)

小さな目標を立てる(1日が原則)

目標達成に有効な方法をリストアップする

 (後略)

 (P81)

 

 ただ、教師の仕事にPDCAを導入する場合、「何を評価の基準にするか」というのが難しいと思います。というのは、PDCAでは、数字で目標を設定することが求められるからです。テストの点数を評価の基準にするとしても、学生は初級から中級、中級から上級へと進み、テストの形式も内容も変わります。ずっと同じ基準で評価できません。ここをどうするか、今考えている最中です。

 

 PDCAについては、次の本もよかったです。

鬼速PDCA

鬼速PDCA

 

 

 『[新時代のワークスタイル] クラウド「超」活用術』

 先に述べたGTDにしろ、PDCAにしろ、ツールが重要になります。たとえば、GTDで洗い出した仕事一覧をどう管理するか、PDCAで、一つの仕事にかかった時間を同計測するか、など、メモとペンなどのアナログツールでも可能ですが、非常に大変です。

 GTDやPDCAは概念ですが、実行に移すためにはツールが必要となります。そのツールが、ToodledoやGoogleカレンダー、Evernote、Dropbox、Togglといったクラウドツール群です。

 私もすべて活用できているとはとても言えないのですが、次のような本を読むと、だいたいの概念はつかめると思います。

新時代のワークスタイル クラウド「超」活用術

新時代のワークスタイル クラウド「超」活用術

 

  もちろん、クラウド関連の本はたくさん出ているので、本屋で自分がいいと思った本を探せばいいと思います。正直この本も、5年経っているので少々古いです。

 

  前に書いたこの記事も、私の実践の一端です。

jpt407.hateblo.jp

 

 『エクセル3分で納得させる資料作成術』

 教師の仕事って、資料を作成したり、テストなどのデータを統計したりする仕事が多いので、Excelは必需品です。ただ、Excelの簡単なテクニックや関数を知らないために、Excelでやらせれば数分で終わる仕事に時間を取られている先生が多くて、とてももったいないと思います。

  下の本は、たまたま家にあった本ですが、本当に何でもいいので、一冊買って基本的な関数を覚えるだけでも、かなり仕事の効率化が図れると思います。

 

jpt407.hateblo.jp

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文章術系

『日本語の作文技術』新装版

 これは紹介の必要もないほど有名な本だと思うのですが、いちおう紹介しておきます。

新装版 日本語の作文技術

新装版 日本語の作文技術

 

  一つだけ注意。「新装版」です。新装版は、図解が増えて、オリジナルとは比べ物にならないくらいわかりやすくなっています

 

 この本は全体的に素晴らしいのですが、特に素晴らしいと感じるのは、「第二章 修飾する側とされる側」と、「第三章 修飾の順序」です。

 たとえば、「第二章 修飾する側とされる側」から。

 修飾する言葉とされる言葉が離れすぎている例として極端な場合をあげよう。

 

  私は小林が中村が鈴木が死んだ現場にいたと証言したのかと思った。

 

 この文章を、一切の言葉に変更を加えずに、機械的に位置を変えるだけでわかりやすくするためには、修飾・被修飾関係の言葉どうしを直結し、入れ子を外せばよい。

 

  鈴木が死んだ現場に中村がいたと小林が証言したのかと私は思った。

(P43)

  もちろん、日本人ですら読めないようなこんな文はめったに出てこないですが、似たような問題で読みにくくなっている文は一般人の書く文にもザラにあって、日本語学習者を悩ませます。確か、「総まとめ」の読解にも、わざわざこういう文の読み方を専門に解説した章があったような・・・。

 もちろん、この『日本語の作文技術』は、「悪文を書かないように」という方向で書かれているんですが、逆に「悪文に出会ってしまった場合、どう読むか」という問題にも応用できます。また、悪文とまではいかなくても、「日本語特有のわかりにくい語順をどう理解するか」を教えるのに役立つと思います。

 もちろん、「わかりやすい文を書く」という本来の目的に沿って、作文指導にも生かせます。

 

 文章レベルで、パラグラフライティングとかを解説している本はたくさんあって、正直私もどれがいいのかよくわかりませんが、文レベルで書き方を解説している本は少なく、私が知っている限り、この本より優れた本はないと思います。

 

 

 他にもいろいろ紹介したい本があるのですが、とりあえず今日はこんなところです。読んだら感想を教えてください。

 

 では、また!

 

 日本語教育以外の教育関連のおすすめ本の記事を書きました。

jpt407.hateblo.jp

 

 日本語教育関連を追加しました。
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